ドローンを飛ばす際、「特定飛行」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的に何を意味するのか曖昧に感じている人も多いはずです。この記事では、特定飛行の定義から、対象となる空域や飛行方法、申請の種類、許可の取得プロセス、違反した際の罰則まで、ドローンの飛行に関するルールを安心して理解できるように整理します。特に夜間や人口集中地区、150m以上の高度などのハイリスク飛行について詳しく解説しますので、実践前に必ず確認してください。
目次
ドローン 特定飛行とは
特定飛行とは、航空法において無人航空機(ドローン)を飛ばす際に、空域または飛行方法のいずれかが複数の基準に該当する場合に、あらかじめ許可または承認を取得する必要がある飛行の区分を指します。許可・承認を受けずに飛行させると航空法違反となりますので注意が必要です。
対象となるのは、空域――高度150m以上、空港周辺、人口集中地区(DID)、緊急用務空域など――および飛行方法――夜間飛行、目視外飛行、第三者との距離確保が困難な飛行、催し場所上空での飛行、危険物輸送、物件投下など――です。これらの条件が重なると、特定飛行として扱われます。
空域に関する規定
特定飛行において対象となる主な空域には、以下のものがあります。
・地表または水面から150m以上の高さの空域。航空機との衝突リスクや空の安全への影響が大きいため、許可が必要です。包括申請ではこの高度帯を含むことはできないとされています。
・空港等の周辺。飛行場の進入・離陸経路がある空域では、航空機運行への影響を避ける必要があります。空港管理者や管制機関との調整が前提です。
・人口集中地区上空(DID地区)。“人口密度 4,000人/平方キロメートル以上”の基本単位区が隣接し、それらの人口合計が5,000人以上となる地域で、第三者の上空を飛行する可能性があるとして原則として許可が必要な空域です。
・緊急用務空域。災害や緊急活動が行われている区域で、一時的に特例として飛行が制限される空域です。公示時に飛行禁止となるエリアが設定されます。
これらの空域では、飛行前に国土交通省管轄の地方航空局や空港事務所などへの許可申請が必要となります。申請先は飛行場所や申請の種類によって異なりますので把握しておくことが重要です。
飛行方法に関する規定
ドローンを飛ばす際の方法にも特定飛行とする要件があります。以下の飛行方法がそれに該当します。
・夜間飛行:日没から日出までの時間帯に無人航空機を飛ばすこと。夜間は視認性が低いため、安全対策や灯火の設置などが求められます。
・目視外飛行:操縦者が直接見て監視できない飛行。補助者やカメラ等によるモニタリングがあっても、目視外とされます。
・第三者又は物件と十分な距離を確保できない飛行:たとえば第三者から30m以内など、危険度が上がる特定ケースです。
・催し場所上空での飛行:イベント会場など多くの人が集まる場所の上空は、万が一の場合の被害が大きいため規制があります。
・危険物輸送:可燃性・爆発性など特殊な物品を運ぶ場合、安全性の確保および周囲への影響評価が必要です。
・物件投下:ドローンから物体を落とす行為。落下や誤落下による危害防止のため許可が必要です。
これらの飛行方法が空域の特定条件と重なると、さらに慎重な申請・審査体制が必須になります。標準マニュアルで対応できない場合には、独自マニュアルが求められます。
申請の種類とその使い分け

特定飛行を行う場合、申請には「個別申請」と「包括申請」の2種類があります。用途や頻度、飛行条件によって使い分けが求められます。
個別申請は、特定の日時・場所・条件に基づいた申請で、単発の飛行や条件が特殊な飛行で使われます。一方包括申請は、業務等でほぼ同じ条件で繰り返し飛行させる場合に有効で、年間最長1年程度の期間で全国または広域を対象に許可を受けられることがあります。ただし150m以上の高度や緊急用務空域などを含む場合には、包括申請では対応できないケースがあります。
申請時には飛行計画書・安全対策マニュアル・操縦者の技能証明などが求められます。また、申請先は飛行地域や空港等の周辺かどうかで、所轄する航空局や空港事務所となります。申請は飛行予定日の少なくとも10開庁日前までに出すことが望ましいです。
包括申請の概要
包括申請とは、繰り返し同条件で飛行することが想定される業務用途等で、年間あるいは一定期間内にわたり同じ飛行条件を前提とした申請をあらかじめ取得する制度です。これにより、毎回個別申請する手間が省けます。
ただし包括申請で扱えない飛行条件もあり、複数の特定飛行条件が重なる場合や特にリスクの高い空域・高度が含まれる場合には、個別申請が必要となります。また、包括申請に基づく飛行では、申請内容の遵守、安全記録の提出、点検や事故報告などの義務があります。
個別申請の要件
個別申請では、飛行日時・場所・飛行方法・許可が必要な空域など、具体的な条件を明記します。申請書類として飛行計画、安全対策マニュアル、操縦者の技能・経験記録などを提出する必要があります。夜間や目視外飛行などの特定方法を含む場合には追加の基準が求められます。また申請先は地域によって異なり、空港事務所や地方航空局が担当します。
夜間飛行・有人地帯上空などハイリスク飛行における具体的ポイント

特定飛行の中でも特に注意すべきのが夜間飛行や人口集中地区上空など、リスクの高い飛行条件です。以下に、これらハイリスク条件で飛ばす際に抑えるべき実務的なポイントを整理します。
夜間飛行時の安全対策
夜間飛行を許可・承認してもらうためには、灯火の装備が必須条件になることがあるほか、補助者の配置、飛行ルートの事前調査、離着陸場所や空域の照明条件などが明確に計画されていることが求められます。
加えて、夜間は視認性が低下し、機体の姿勢や位置など誤認が起こりやすいため、飛行高度・周囲の安全確認、第三者の立入り管理などがより厳しく審査されます。
有人地帯(DID地区)上空での制限
人口集中地区上空で飛行する場合は、第三者上空を通過する可能性があるため、飛行許可が原則必要です。また、標準マニュアルでは対応できない飛行方法と組み合わせると、独自マニュアルを求められます。
DID地区かどうかは国勢調査に基づき5年ごとに更新される人口と密度のデータで決まっており、ドローンを飛ばす予定のエリアが該当するかを地図や統計資料で確認することが重要です。
高度150m以上の飛行とその意味
地表または水面から150m以上の空域で飛行する場合、それだけで特定飛行の対象となります。飛行許可が必要で、航空機との衝突リスクが大きくなるため、管制機関との事前調整が不可欠です。緊急用務空域である場合にはそもそも飛行が禁止されていることもあります。
違反した際の罰則・リスク
申請せずに特定飛行を行った場合、航空法または無人機飛行禁止法等の法規によって罰則が科せられます。
無人航空機を許可なしに飛行させると罰金、また行政処分の対象となることがあります。具体的には50万円以下の罰金が規定されているケースもあります。
また、飛行中の事故が発生した場合、損害賠償責任や操縦者資格・保険対応など実務的なリスクも無視できません。
手続きの流れと準備する書類

特定飛行を行う際には、以下のような流れで申請・許可取得を進めることが一般的です。
まずは飛行空域および飛行方法が特定飛行に該当するかどうかを確認します。次に申請の種類(個別/包括)を選び、必要な書類を準備します。書類には飛行計画書、安全対策マニュアル、操縦者の技能証明などが含まれます。
申請先は地方航空局または所轄の空港事務所となります。申請は飛行予定日の少なくとも10開庁日前までに提出することが望ましいです。申請後は審査があり、条件をクリアした場合に許可または承認が下ります。
申請書類の具体例
飛行計画書には、日時、場所、機体仕様、飛行ルートなどを明記する必要があります。安全対策マニュアルでは、灯火設備、補助者配置、離着陸場の確保、緊急時対応などが含まれます。夜間や目視外飛行など特定方法を用いる場合は追加基準を満たすことが求められます。
申請先と審査機関
申請先は、飛行場所や空港等の周辺かどうかで、所轄の地方航空局・空港事務所となります。申請書を提出後、審査機関が飛行条件の安全性、ルートの妥当性、操縦者の技能などを確認します。許可または承認が出るまでに時間を見込むことが重要です。
特定飛行制度の最新情報と動向
制度は頻繁に見直されており、最新情報として、航空法の改正や運用ガイドラインの更新で特定飛行に関する基準が明確化されています。特に夜間飛行の追加基準や申請方法、包括申請で扱えない条件の明示などが強調されています。
また、緊急用務空域が実際に指定される事例が増えており、災害発生時には指定エリア内でのドローン飛行が原則禁止となるケースが報告されています。さらに、人口集中地区の範囲は国勢調査に基づき5年毎に更新されるため、以前飛行可能であった場所が対象になる可能性がありますので、最新の地区情報を必ず確認してください。
まとめ
ドローンの特定飛行とは、空域や飛行方法が航空法などで定める基準に該当する「許可または承認が前提」の飛行形態です。夜間や人口集中地区上空、高度150m以上、目視外飛行など、ハイリスクな条件が含まれる場合は特に注意が必要です。
飛行を計画する際は、まず自分の飛ばしたい場所や時間が特定飛行に当たるかを確認し、個別申請か包括申請かを選び、安全対策マニュアルや操縦者の経験を整理して申請手続きを行いましょう。違反すると罰則や事故等のリスクが伴いますが、適切に手続きすれば安心して飛行できます。