ドローンに搭載されたズームカメラは、遠くの被写体まで鮮明に撮影できる機能で人気です。従来の固定焦点カメラでは難しかった空撮が、ズーム機能によって新しい視点で楽しめるようになりました。
最近では技術の進化により、手軽に高倍率ズームが使える機種も増えています。たとえばDJIをはじめとするメーカー各社がズームカメラ搭載モデルを続々と投入し、風景・イベントなどの空撮シーンをさらに広げています。
目次
ドローンのズームカメラとは? 基本機能とメリット
ドローンに搭載されるズームカメラは、光学ズームやデジタルズームを使って被写体を拡大撮影できるカメラです。高倍率ズームを使用すれば、遠くの景色や被写体を鮮明に捉えることが可能になります。通常の固定焦点カメラよりも撮影できるシーンが広がり、空撮での表現力が大きく向上します。
一方で、ズーム機能付きカメラはレンズ構造が大型化・複雑化し、機材重量やコストが増す欠点もあります。機体に搭載する際はメリット・デメリットを確認し、用途や予算に合った機種を選びましょう。
ドローンにおけるズームカメラの概要
ズームカメラの撮影では、レンズの焦点を変える光学ズームと映像を拡大するデジタルズームが活用されます。光学ズームではレンズを機械的にスライドさせ、画質を落とさずに拡大できる一方、レンズ機構が大型化しやすいです。デジタルズームは取得した映像を画像処理で拡大する手法で、光学ズームよりも小型カメラでも高倍率が実現しやすいのが特長です。ただし倍率が高いほど解像度は下がるため、使い分けが重要です。
ズーム機能を活かした撮影のメリット
ズーム機能を持つドローンには、撮影に自由度をもたらす様々なメリットがあります。まず、離れた被写体を鮮明に引き寄せて撮影できるため、被写体に近づけない場合でも高品質な映像を得られます。
また、望遠効果で背景が圧縮されることで印象的な構図が得やすく、風景やイベントの撮影に効果的です。
- 離れた被写体を鮮明に撮影できる
- 多彩なアングルや構図を追求できる
- 被写体に近づけないシーンでも撮影できる
- 様々なズーム倍率で表現の幅が広がる
これらのメリットにより、空撮の表現力は格段に向上します。
搭載時の注意点(重量・規制など)
ズームカメラ搭載モデルには注意点もあります。
- 大口径レンズや望遠機構の搭載で機体重量が増加し、飛行時間が短くなりやすい
- 200g以上のドローンになるため、航空法に基づく登録・許可が必要
- 望遠撮影では手ブレや微振動が映像に影響しやすい
- 高倍率時はシャッタースピードやジンバル性能を工夫しないと画質が劣化する
これらに留意しつつ、機体性能や撮影環境に合った設定で使用することが大切です。
注意: 200g以上のドローンは航空法の規制対象です。許可・登録が必要で、違反すると罰則を受けるおそれがあります。飛行エリアや高度にも制限があるため、必ず事前に法令やガイドラインを確認しましょう。
ドローンのズーム機能 光学ズームとデジタルズームの違い

ドローンのズーム機能には、主に光学ズームとデジタルズームの2種類があります。特徴と制約が異なるため、用途に応じた使い分けが重要です。本章では両方式の違いを詳しく解説します。
光学ズームカメラの特徴
光学ズームカメラは、レンズの焦点距離を物理的に変えることで拡大撮影を実現します。被写体を拡大しても画質劣化が起こりにくく、遠方の被写体もクリアに撮影できます。
ただし、レンズ機構が複雑になりやすく、カメラ全体が大きく重くなる点がデメリットです。高倍率で撮影する際は、しっかりとしたジンバルと大口径レンズを備えた機体が有利です。
デジタルズームカメラの特徴
デジタルズームは撮影後の映像をソフトウェアで拡大する手法です。光学ズームが不要なため、軽量・小型のカメラでも高倍率ズームが容易に実現します。
スマートフォンやコンパクトドローンでおなじみの方式であり、小型機種でよく採用されています。ただし、拡大するとそのぶん画質が粗くなり、ズーム倍率が高いほど解像感は低下します。
ズーム倍率と画質の比較
光学ズームでは画質劣化が少ないため、最大倍率でも鮮明に撮影できます。一方、デジタルズームは拡大するほど画像が荒くなり、細部のディテールが失われやすくなります。
極端なズームが必要な場合は、まず光学ズームを優先し、必要に応じてデジタルやハイブリッドズームを活用するのがお勧めです。
ドローン ズームカメラ搭載モデルの選び方

ズームカメラ搭載ドローンを選ぶ際は、撮影目的や予算に応じてスペックをチェックしましょう。ズーム倍率だけでなく、センサーサイズやジンバル性能、バッテリー容量のバランスも重要です。ここでは選び方のポイントを詳しく解説します。
光学倍率とカメラ性能を重視する
まず注目したいのは光学ズーム倍率です。光学倍率が高いほど遠くの被写体を大きく捉えられます。またセンサーサイズや解像度も重要で、できれば1インチセンサー搭載機を選ぶと画質が安定します。
小型センサー機ではズーム時にノイズやぼけが発生しやすいため、仕様をしっかり確認しておきましょう。
ジンバルの性能で選ぶ
高倍率ズームを活かすには、ジンバルの性能も重要です。ズーム時は微細な振動でもブレが目立つため、3軸ジンバルなど高性能なブレ補正機構を搭載したモデルを選びましょう。ジンバルがしっかりしていれば、手動操作や風の影響を受けにくく、クリアな映像になります。
購入時にはジンバルの軸数や耐荷重を確認しておくと安心です。
飛行時間・重量・操作性を確認
ズームモジュールを搭載すると機体重量が増えるため、バッテリー消費も増加します。飛行時間はスペック上でも限られる傾向があるので、購入前に公称飛行時間を確認しましょう。
また、重い機体は風の影響を受けやすく操縦が難しくなるため、GPS安定性やセンサー類の有無もチェックが必要です。操作性の面では、ホバリング精度や自動追尾機能のサポートも重要です。
予算と用途に合ったモデルを選ぶ
ズームカメラ搭載ドローンは機能が複雑な分、価格も高めです。予算に応じて必要な機能を明確にし、費用対効果を考えましょう。初心者や趣味用途なら手頃な価格帯で基本機能を抑えたモデルがおすすめです。一方、映像制作や調査業務には、高性能で信頼性の高い上位モデルが適しています。用途に合わせて無理のない範囲で選びましょう。
ドローンのズームカメラでできること・活用方法
ズームカメラ搭載ドローンを使うことで、撮影や調査の幅が大きく広がります。高倍率ズームがあれば、遠くの被写体を迫力ある映像に収められるほか、安全性を確保しつつ詳細な観察も可能です。ここからは具体的な活用シーンをカテゴリ別に紹介します。
映像制作やレジャーでの利用
ズームドローンは映像制作で特に効果を発揮します。広い風景やイベントなどの遠景を高倍率ズームで捉え、ダイナミックなシーンを演出できます。例えば山岳地帯や海岸線の広大な景色を、手前の被写体と一緒に迫力ある映像に収めることが可能です。
また、旅行や趣味の空撮でも、被写体の細部までしっかり撮れるので、通常の空撮では撮りにくいユニークなアングルの映像が撮影できます。SNS用コンテンツなどクリエイティブな使い方にも向いています。
建物・インフラ点検や測量など産業用途
産業分野でもズームカメラドローンは活用されています。特に構造物やインフラの点検では、高所や遠方の箇所に安全に近づかずに鮮明な映像を撮影でき、作業効率が向上します。鉄塔や橋梁の点検時は、ズームによって細かな亀裂や劣化部分を遠隔で確認できます。
また、測量用途では地表の撮影範囲を広くカバーした映像から位置データを取得しやすく、従来よりも短時間で精度の高い測量が可能です。
防災・救助・農業への応用
防災・救助活動でも、ズームドローンは遠方の状況把握に役立ちます。被災地全体を俯瞰した映像を撮りながら、ズームで対象を更に詳しく観察できるため、被害範囲や被災者の位置特定が効率的です。
農業分野では畑や果樹園の生育状態をズームで確認でき、病害や異常を早期発見できます。これらの機能により、山火事の監視や災害時の初動対応など、幅広い場面で有効活用できます。
おすすめのズームカメラ搭載ドローン

ここでは代表的なズームカメラ搭載ドローンを比較し、用途別におすすめ機種を紹介します。
代表的モデルのスペック比較
主なモデルを以下の表で比較しました。それぞれ光学ズーム倍率やフライト性能に違いがあるので、参考にしてみてください。
| モデル | 光学ズーム | デジタルズーム | 飛行時間 | 重量 |
|---|---|---|---|---|
| DJI Mavic 3 | 約7倍 | 最大約28倍(ハイブリッドズーム) | 46分 | 895g |
| DJI Mavic 2 Zoom | 2倍 | 最大4倍(光学2倍+デジタル) | 31分 | 905g |
| Parrot Anafi USA | 約3倍 | 最大32倍(デジタル) | 32分 | 740g |
用途別のおすすめ機種
- 初心者・ホビー向け: コストパフォーマンスに優れ、扱いやすいモデル(例: DJI Mavic 2 Zoomなど)
- 映像制作・商用向け: 高画質センサーを搭載した上位モデル(例: DJI Mavic 3)
- 産業点検・測量向け: 耐久性・拡張性に優れた産業用モデル(例: DJI Mavic 3 Enterpriseシリーズ)
これらの機種は用途に応じて特徴が異なるため、使用目的に合わせた選択をしましょう。
まとめ
ドローンのズームカメラは、空撮映像に迫力や臨場感を与え、これまで撮影できなかった被写体まで鮮明に捉えることができる優れた機能です。光学ズームとデジタルズームの違いや、モデル選びのポイントを理解しておくことで、より適した機種選びが可能になります。特に高性能なジンバルと長時間飛行を備えたドローンなら、ずっと安定した撮影が実現します。
最後に、最新のズームカメラ搭載ドローンは常に進化しています。購入後もアップデート情報を確認しながら、安全に活用してください。