ドローンを飛ばす前には最新のルールを確認しておきましょう。制度改正が続くなか、飛行場所の制限強化や機体登録、操縦免許の導入など、新たに守るべき規制が増えています。
本記事では最新のドローンルールをわかりやすく解説し、安全に飛行させるためのポイントをまとめました。
初心者から上級者まで役立つ情報を網羅していますので、安心して読み進めてください。
最新ドローンルールの概要
ドローンの普及に伴い、空の安全を守るためにさまざまな法規制が設けられています。無人機の事故やトラブルが増加する中で、法律や条例は年々見直されてきました。
日本では主に「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」がドローン飛行を規制しており、さらに自治体ごとの条例や運用ルールも加わります。
最新の改正では、飛行許可の要件や機体登録義務、資格制度の導入などに大きな変更があり、ドローンユーザーには新たな対応が求められています。
これら新ルールの背景には、安全性の確保だけでなく、ドローン利用の拡大に伴う利便性の向上もあります。国土交通省などは事故防止と利便性の両立を目指し、飛行方法や対象機体に応じた規制を整備しています。
今後も改正は続く見込みなので、関係機関の情報更新をチェックしながら、最新ルールを適切に守って飛行することが重要です。
ドローン規制の背景と目的
ドローンは個人の趣味や撮影だけでなく、建設・農業や物流など様々な分野で活用が進んでいます。その一方で、飛行中の衝突事故やプライバシー侵害などの問題も指摘されています。
これらのリスクを回避するため、ドローンを安全に利用する観点から法律が整備されてきました。具体的には、飛行エリアや方法の制限、機体登録の義務化、操縦者資格の創設などが行われています。
目的は「ドローンの安全利用を促進し、事故や被害を未然に防ぐ」ことです。ルールを守れば安全と便利さを両立したドローン生活が可能になりますので、背景を理解して順守していきましょう。
最新ルール制定の経緯
日本では2015年ごろからドローン利用が急増し、規制の整備が進みました。例えば2016年には重要施設周辺の飛行禁止を定めた法律が施行され、近年では2022年に100g以上の小型機を対象とする改正などが行われています。
2022年12月には国家資格制度が導入され、以降は国家資格を持つ操縦者が多くの飛行申請を簡略化できるようになりました。各種改正には時間差がありますが、いずれも「安全性の確保」と「ルール周知」を狙ったものです。
直近の改正では、以前まで対象外だった100g以上のドローンも航空法の規制下に入り、機体登録義務の対象が拡大しました。また、2022年以降はリモートIDの義務化や、今後の部分的な運用変更が予定されています。常に最新情報に留意し、ルールに適合した飛行計画を立てる必要があります。
航空法・禁止法との関連
国内のドローン規制では、まず航空法が大きな枠組みを提供しています。航空法では、無人航空機(ドローン)の飛行地域や飛行方法に許可制度を設けており、安全な空の利用を確保しています。
一方、小型無人機等飛行禁止法(いわゆる無人機禁止法)は、重要施設周辺などでドローン飛行を禁止しています。これは原子力施設や政府機関、スポーツ大会など、安全確保に特に配慮が必要な区域に適用され、違反時には厳しい罰則が課せられます。
さらに地域によっては自治体条例で独自の制限が設けられています。都市公園や道路、観光地などについて飛行を管理・禁止するケースが多いため、飛行前には各地域の規制状況を確認することが重要です。
ドローン飛行に関する主な規制

ドローンを飛行させる際には、どのエリアでどのような規制がかかるのかを把握しておく必要があります。飛行地域の規制は主に航空法によるものと、禁止法や各自治体の条例によるものがあります。以下でそれぞれの概要を説明します。
航空法による飛行区域の区分
航空法では、無人航空機の飛行区分を以下の3つに分けています:
- 許可が必要なエリア:高度150m以上、人口集中地区(DID地区)、空港周辺(滑走路から一定範囲)など。これらの空域で飛行するには事前に国土交通大臣(地方航空局長)の許可が必要です。
- 許可不要なエリア:上記以外の地域で、周囲に人や建物が少ない場所などでは許可なく飛行できます。
- 飛行禁止エリア:国交省が指定する特別な禁止空域(例えば、一定の高さ以上に延びる電線等がある区域など)です。これらの区域は法律で全面的に飛行が禁止されています。
上記のうち許可が必要なエリアで飛行する場合は、飛行計画を作成して申請する手続きを忘れないようにしましょう。また、禁止区域では例外なく飛行できませんので、地理院地図などでエリアを確認しておくことが大切です。
小型無人機等飛行禁止法の要点
小型無人機等飛行禁止法は、国の重要施設周辺でドローン飛行を禁じる法律です。適用対象は次のようなエリアで、許可なく飛行させると懲役や罰金の対象になります:
- 原子力発電所や変電所などエネルギー供給施設周辺
- 自衛隊基地、米軍基地などの軍事関連施設周辺
- 国会議事堂や官公庁など政府機関周辺
- 地震観測所など重要な観測施設周辺
- イベント会場やスタジアムなど、不特定多数の人が集まる場所の周囲
これらの区域は「飛行禁止空域」と指定されており、警視庁の管轄で違反者は厳しく取り締まられます。航空法の許可制度とは別に設定されているため、該当区域の飛行には十分な注意が必要です。
各自治体の条例と制限
国の法律に加え、多くの自治体では独自にドローン飛行の規制条例を制定しています。一般的には、市街地や公園、観光地などでの飛行に許可が必要であったり、特定のエリアで禁止されていたりします。例えば、東京都では都内全域で飛行前に届け出が必要となる公園が多く指定されており、京都市では歴史的建造物周辺での飛行が禁止されています。
また、公共施設や交通機関周辺での飛行も自治体が安全確保のために規制する例が増えています。県や市のHPで最新の条例情報を確認し、飛行前にルールを把握しておくことが重要です。
飛行方法に関する規制

飛行場所に限らず、ドローンを飛ばす際には基本的な操作ルールや安全対策が求められます。ここでは、航空法で定められた基本ルールや飛行時の注意点について解説します。
安全な飛行のために守る基本ルール
ドローンを飛行させるときは以下の事項を必ず守りましょう:
- アルコールや薬物の影響下で操縦しない
- 飛行前に機体点検や動作確認を行う
- 他の航空機や障害物との衝突を避けるよう飛行する
- 第三者に迷惑をかけないようにマナーを守る
これらの基本ルールは航空法にも明記されており、どのような場所で飛行する場合も共通して求められます。例えば、酔った状態での飛行は厳禁ですし、機体の整備不良がないかも事前にチェックが必要です。また、他人や家屋にぶつからないように十分な距離を取り、騒音やプライバシーの配慮も行いましょう。
飛行高度・距離に関する制限
ドローン飛行には高度や距離に関する制限もあります。基本ルールとして、地表から150m以内、かつ目視範囲内での飛行が原則です。つまりドローンは常に操縦者が目視できる範囲で飛ばさなければなりません。
また、飛行中は周囲の人やモノとの最小距離として30m以上を確保する必要があります。例えば見知らぬ人や集合住宅などに近づいて飛行することは、法律で禁止されています。これに違反すると航空法で罰則対象になるため、必ず安全な距離を保って飛行しましょう。
さらに、無人航空機が他の航空機と衝突しないように注意しなければなりません。ドローンは有人機と同じ空域を飛べるため、特に民間航空機やヘリコプターの近くでは絶対に飛行しないようにしてください。
夜間・目視外飛行の条件
夜間飛行や目視外飛行(レベル4飛行)は、原則として国土交通省の許可が必要です。無許可でこれらの飛行を行うと法律違反になります。ただし一定の条件を満たせば、許可不要となる場合もあります。例えば、夜間や遠方飛行を行う操縦者責任者を配置し、適切な手順を守れば、許可なしで飛行できるケースもあります。
また、国家資格を持つ操縦士(第一種無人航空機操縦士)が一等機体認証を受けたドローンを使い、所定の安全措置を講じた場合は、夜間や目視外でも許可・承認を不要とする省令が一部整備されています。一方で、資格を持たない一般ユーザーが夜間・目視外で飛行するには、やはり許可取得が必須ですので注意しましょう。
ドローン操縦士の資格と機体登録
近年、ドローンの操縦資格や機体登録が法律で義務付けられました。ここでは国家資格制度と機体登録のポイントを解説します。
国家資格制度の開始
2022年12月から、ドローン操縦に国家資格が導入されました。これにより、一等と二等の無人航空機操縦士資格が設定され、国家資格を有するパイロットは飛行許可申請の手続きが簡略化されます。特に第一種操縦士(いわゆる一等免許)を取得すると、有人地帯での目視外飛行(レベル4)が可能になり、ビジネス利用の幅が広がります。
国家資格講習は国土交通省認定の機関で実施されており、学科試験と飛行実技をクリアすることで免許を取得できます。今後はこの国家資格制度が一般化していくので、ドローンを本格的に活用する人は早めに取得しておくと安心です。
資格保有のメリットと要件
国家資格を持つことで、飛行許可申請時の点数要件が緩和されるなどのメリットがあります。また、前述の通りレベル4飛行における大きな利点も得られます。資格には一等と二等があり、取得要件や費用は講習機関によって異なりますが、基本的な学習範囲は同じです。受講には年齢制限(最少年齢は10歳以上)があり、一等では実地飛行試験が、二等ではより簡易な試験が課されます。
注意点として、従来の民間講習(民間資格)は今後、許可申請の証明として認められなくなる予定です。そのため、公的な国家資格を早めに取得しておくことが推奨されています。
機体登録義務化と手続き
航空法の規定により、重量100g以上の全てのドローンは機体登録が義務付けられています。ここで言う重量は、ドローン本体とバッテリーを合わせたものです。ラジコン飛行機や農薬散布用ヘリなども含め、すべての該当機体は国土交通省の「ドローン情報基盤システム(DIPS)」に登録が必要です。
登録はオンラインで申請できますが、各機体ごとに登録を行う必要があります。未登録のドローンを飛行させると違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になり得ます。逆に、100g未満の超小型ドローンは航空法外の「模型航空機」と扱われるため、登録義務はありません。しかし安全面では、軽量機でも事故を起こす可能性があるので、自己責任で登録や保険加入を検討することが望まれます。
最新の法改正・改定ポイント

最近の改正点を簡単にまとめると、特に以下の項目が大きく変わりました:
| 項目 | 改正前 | 改正後(最新) |
|---|---|---|
| 規制対象機体重量 | 200g以上 | 100g以上 |
| 機体登録義務 | 200g以上のドローン | 100g以上のドローン |
| 操縦資格 | 国家資格なし(民間講習任意) | 国家資格制度を導入(取得必須化へ) |
このように、従来は規制対象外だったドローンが新たに規制されるケースが増えています。特に機体重量の基準引き下げ(200g→100g)により、小型ドローンも法律の対象となりました。上記の変更を踏まえ、以前とは異なる思わぬ違反をしないよう注意が必要です。
また、リモートID(飛行中のドローンが識別信号を発信する装置)の義務化エリアが拡大されています。2022年から導入されたリモートID装置は、特定エリアでの装着が求められ、違反した無許可飛行の取り締まりが厳しくなります。これにより業務用ドローンの信頼性向上が期待される一方で、装置未搭載機は運用範囲が制限されるため装備状況を確認しましょう。
さらにレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)は、国家資格保有者と認証機体で条件を満たせば可能になりました。しかし一般の目視内飛行(レベル1~3)でも、近年は許可申請の要件が厳密化されていますので、飛行前の書類準備は怠らないようにしてください。
安全な飛行のために意識したいこと
法律に加え、一般ユーザーとして安全に飛行するために心掛けるべきポイントがあります。以下は重要なチェック項目です:
飛行前のチェックリスト
飛行前には必ず事前準備を行いましょう。主なチェック項目は以下の通りです:
- 機体・バッテリーの点検:プロペラやカメラの固定、バッテリーの充電残量を確認
- 気象条件の確認:風速が強すぎないか、雨など悪天候が迫っていないか
- 周辺環境の確認:飛行禁止エリアや障害物の有無を地図でチェック
- 許可取得の確認:飛行計画に合わせて航空局や自治体への申請が必要か
- 資格・登録確認:操縦者の資格と機体登録が完了しているか
このリストをもとに準備を進めると、トラブル防止につながります。特に天候の急変には注意が必要で、風が強くなる予報であれば飛行を延期する判断も重要です。
保険加入と責任の把握
ドローン事故で他人にケガをさせたり物損を起こした場合、操縦者に賠償責任が生じます。現在、ドローン保険は法律で義務付けられていませんが、万が一の際に備えて加入を強くおすすめします。保険は機体の損害と第三者への被害の両方を補償するものが多く、低価格で加入できるプランもあります。
万一の事故発生時には、自身の過失や法律上の責任を認識して迅速に対応することが重要です。被害者への対応や当局への報告も必要になるため、日頃から保険や緊急時の連絡先を確認しておきましょう。
プライバシー保護とマナー
ドローンにはカメラが搭載されている場合が多いので、他人の撮影には細心の注意が必要です。以下の点を心掛けましょう:
- 人や住宅への接近撮影を避ける:無断で人や家屋にカメラを向けない
- 公共空間での配慮:公園や観光地では周囲の迷惑にならないよう飛行する
- 発進前の声掛け:近隣住民に事前に一言断っておくと誤解を避けられる
- コールアウトやライト使用:夜間飛行時は自機の存在を分かりやすくする
航空法でも「他人に迷惑を及ぼす飛行は禁止」と明記されています。ドローンを使うことで写真・映像が簡単に撮れる反面、周囲への配慮を欠くとトラブルにつながります。マナーを守り、安全・安心な飛行を心がけましょう。
トラブル時の対処法
万一事故やトラブルが発生した場合は、冷静に対処することが求められます:
- 飛行を直ちに停止し、被害状況を確認する
- 警察や消防など緊急連絡先に速やかに通報する
- 事故日時・場所、機体状態などを記録し保管する
- 保険に加入している場合は状況報告し、必要な手続きを進める
- 法律上の責任範囲を確認し、謝罪や示談の準備をする
事故後は証拠保全のためドローン本体や撮影データを守り、関係者間で事実を整理しましょう。早めに法律相談や保険会社への連絡を行い、適切な対処をすることが大切です。
まとめ
最新のドローンルールでは、飛行可能エリアや飛行方法が大幅に見直されています。無許可区域での飛行や高度超過などは重い罰則の対象となるため、必ず最新情報を確認してルールを守ることが重要です。
また、機体登録や操縦資格の義務化に備えて、早めに手続きを済ませておきましょう。安全な飛行のためには事前準備やマナーも欠かせません。
ここに挙げたポイントを参考に、しっかりとルールを守って安全第一でドローンを楽しんでください。