FPV(First Person View)ドローンは、操縦者がドローンの視点で空中を飛ぶような臨場感が魅力です。ただし、一般のドローンとは操作方法や準備が異なり、初心者にはスタートのハードルが高い面もあります。
そこで本記事では、FPVドローンの基本ステップや必要な機材、練習方法、安全対策までを徹底解説します。最新のおすすめ機種も紹介し、初心者でも安心してFPVドローンの世界に飛び込めるようサポートします。
FPVドローン始め方の基本ステップ
FPVドローンを始めるには、いくつかの準備と手順を踏む必要があります。まず、FPVドローンの仕組みや特徴、法規制について基本的な知識を身につけましょう。
具体的には、ドローン本体やゴーグル、送信機といった必要機材の準備から始めます。最初はシミュレーターで操作に慣れ、屋内外での実機練習を取り入れるのが一般的な流れです。この記事では、FPVドローンを始めるための道筋をステップごとに解説し、安全に楽しむためのコツを紹介します。
FPVドローンとは何か
FPVは「ファースト・パーソン・ビュー(First Person View)」の略で、ドローンに搭載したカメラの映像をリアルタイムでゴーグル視聴できる技術です。これにより、操縦者はまるでドローンに乗って空を飛んでいるような臨場感を体験できます。
通常のドローンでは操縦者が機体を目で見ながら操作しますが、FPVドローンでは操縦者がゴーグルを装着し機体視点の映像を見て操縦します。そのため、最初は高度や方向の把握が難しく感じるかもしれません。また、FPVゴーグルを使うと直接ドローンが見えないため、法令上では目視用の補助者(スポッター)を配置する必要があります。
FPVドローンの特徴と魅力
FPVドローンは、高速で自由な飛行が最大の魅力です。通常のドローンに比べ、機動性に優れ、急な旋回や宙返りなど複雑なアクロバット飛行も可能です。
また、ゴーグルを通して映像を見られるため、まるでテレビゲームのような臨場感で空撮や飛行を楽しめます。視界がドローンの視点になるのでスピード感が増し、これまで撮れなかった新しい映像が撮影できるのもFPVの大きな長所です。
通常のドローンとの違い
通常型ドローンでは操縦者が機体の位置や姿勢を目視で確認しながら飛ばしますが、FPVドローンでは操縦者がゴーグルを装着し機体視点の映像を見て操縦します。そのため、最初は高度や方向の把握が難しく感じるかもしれません。
また、FPVゴーグルを使うと直接ドローンが見えないため、法令上では目視用の補助者(スポッター)が必要となります。こうした操作面と安全面の違いを理解しておきましょう。
FPVを始める前に準備すること
まずは必要機材の準備です。FPVドローン本体やゴーグル、送信機といった基本セットを購入し、組み立てや初期設定まで済ませておきましょう。
また、法律や飛行可能エリアを事前に確認することも必須です。さらに、操縦練習に飛行シミュレーションができる環境も整えておきましょう。
FPVドローンに必要な機材

FPVドローンで必要な機材は「ドローン本体」「送信機(コントローラー)」「FPVゴーグル」の3つが基本です。
これに加え、バッテリーや充電器、予備のプロペラ、工具などのサポート用品も揃えておきます。初心者には、プロペラガード付きで安全性の高い機体や、機体・ゴーグル・コントローラーがセットになったスターターキットがおすすめです。本節では、基本機材の役割と選び方を解説します。
ドローン本体
FPVドローン本体は、多彩な機種が存在します。初心者には耐久性と安定性に優れた機体がおすすめです。
例えば、プロペラガードを備えた「CineWhoop」タイプは衝突時のダメージが小さく、安全に飛ばせます。空撮用の一体型機(DJI Avata 2など)も機体・ゴーグル・送信機が連携済みで、届いたその日から飛行を始められるメリットがあります。一方、レース用フレームキットは高速で機敏ですが、組み立てや調整が必要なので、最初は注意して扱いましょう。
送信機(コントローラー)
送信機はドローンを操縦するコントローラーです。主に2本のスティックでスロットルや方向を操作します。送信機は機能やサイズ、ボタン配置が機種によって異なり、初心者向けには最初から操作が簡単なモデルがおすすめです。
ハイエンド機種(例: RadioMaster TX16Sなど)は多機能ですが価格も高く、将来的な拡張性が優れています。また、送信機にはアナログモジュールやデジタルモジュール用のスロットがあり、対応プロトコル(例:ACCST、D8、D16、PWM、DSM2/DSMXなど)を確認しておくと安心です。
FPVゴーグル
FPVゴーグルは、ドローン視点の映像をリアルタイムで見るためのヘッドセットです。アナログFPV用ゴーグル(Fat SharkやEachineなど)と、デジタルFPV用ゴーグル(DJI FPVゴーグルV2など)があります。アナログタイプは比較的安価で軽量ですが、映像にノイズが乗りやすく長距離飛行で画質が落ちることがあります。
デジタルタイプは高画質で遅延も低く、クリアな映像を楽しめますが、価格が高額で使用できる機体が限定される場合があります。予算や飛行スタイルに合わせて選びましょう。
バッテリーと充電器
FPVドローンには高性能なリチウムポリマーバッテリー(LiPo)が必要です。一般的なFPV機体では1000~2000mAh程度のバッテリーを使用し、満充電で5~10分前後の飛行が可能です。予備バッテリーを複数用意しておくと練習時間を延ばせます。
バッテリー充電には「バランス充電器」を使い、各セルの電圧を均等に保ってください。安全のため、高電圧時や充電完了時には十分に放熱し、LiPo専用の充電バッグを使うなど過充電を防ぐ工夫をしましょう。
プロペラガード・予備パーツ
初心者は墜落や衝突で機体を壊してしまうリスクが高いため、プロペラガード(プロペラカバー)の装着がおすすめです。プロペラガードは接触時に人や物へのダメージを軽減し、室内練習を安全に行えます。
また、プロペラは消耗品なので予備のプロペラを数枚用意しておきましょう。ドライバーなど基本的な工具も揃え、ペラ交換や軽微な修理が自分でできるように準備しておくと安心です。
その他アクセサリー
飛行ログ用のSDカードや、送信機の予備モジュール(プロトコルモジュール)、ヘッドトラッキング用のセンサーなどもあると便利です。DJI製品のようにゴーグルや送信機にスマホを接続できる機種では、専用アプリと連携して設定・録画が行えます。
そのほか、USBケーブル、バッテリーテンダー(バッテリーテスター)、バッテリーバッグなども揃えておくと、準備や整備がしやすくなります。
アナログFPVとデジタルFPVの違い
FPV映像伝送にはアナログ方式とデジタル方式があり、それぞれ特徴があります。アナログFPVは比較的安価に揃えられますが、映像ノイズが乗りやすいのがデメリットです。一方デジタルFPV(例:DJI O3+等)は高解像度でクリアな映像が可能ですが、専用機材が必要でコストが高くなります。以下に主要点をまとめました。
| 項目 | アナログFPV | デジタルFPV |
|---|---|---|
| 映像品質 | 解像度が低めで映像がノイズ混じり | 高解像度で遅延も少なく鮮明 |
| 価格 | 比較的安価 | 高価 |
| 互換性 | 複数ブランドの機材が混在しやすい | メーカー専用(主にDJIなど) |
| 伝送安定性 | 遠距離でノイズや妨害が入りやすい | 安定しやすく長距離飛行にも強い |
初心者におすすめのFPVドローン

FPVドローンには多くの機種がありますが、初心者には扱いやすく安全性の高いモデルがおすすめです。まずは一体型キットで手軽に始める方法や、室内外で練習しやすいCineWhoop・Tiny Whoopといった小型モデル、さらにはレースドローンの入門組み立てキットなど、用途別に選び方をお伝えします。
初心者向けFPVドローンの選び方
初心者が機体を選ぶ際のポイントは「安定性」と「安全性」です。風やバッテリーの重さなど、機体が暴れやすい条件に強い安定した機体や、プロペラガード付きで衝突時の負傷を防げる機体がおすすめです。
空撮用のCineWhoopタイプは安定性が高く、セット製品も多いため手軽に始められます。一方、飛行技術が向上したあとにスピードやキビキビした操縦を求めるなら、レース用キットも検討すると良いでしょう。
一体型のFPVスターターキット
一体型キットは、ドローン本体・ゴーグル・送信機がセットになったパッケージです。代表例としてDJIの「Avata 2」や「DJI FPV」があり、機材選びやペアリングの手間なくすぐに始められるのが大きなメリットです。
高品質な映像伝送と安定した操作環境がセットになっているため、初心者には安心ですが、価格はやや高めになります。ただし、後から別々に買い揃えるより相性問題が少ないという利点があります。
Tiny Whoop/シネフープなど小型機の魅力
Tiny Whoopやシネフープは超小型のFPVドローンで、全長10~15cmほどの非常に小さい機体です。プロペラガード付きで壁などに衝突しても周囲や人にあまり被害を与えずに済むため、室内練習に最適です。
パワーは控えめですが、安定感が高く初心者がドローンの操縦感覚に慣れるのに向いています。さらに価格も比較的安いモデルが多いので、まずは手軽に挑戦してみたい方におすすめです。
レース用FPVドローンキット
レーシングドローンは高性能モーターを搭載し、鋭い加速や急旋回が得意ですが、操作には高い技術が求められます。入門用キットなら、頑丈なフレームと安定性を重視したESC(電子速度制御)を備えたものがおすすめです。市販のReady-to-Fly(RTF)キットなら手頃な価格でスピード性能を体験できますが、最初から全開の飛行を目指すのではなく、まずは安全な範囲で徐々に上達してください。
FPVドローンの練習方法
FPVドローンの操作には慣れと練習が必要です。初心者はまずフライトシミュレーターを使って基礎操作を体感し、次に屋内・屋外で段階的に実機の飛行練習を行いましょう。以下では、シミュレーター練習や実機練習のコツについて詳しく解説します。
シミュレーターでの練習
フライトシミュレーターはFPV操縦を練習するのに最適なツールです。実際のドローンを使わずに、離陸・着陸・ホバリング・旋回などの基本操作を何度でも繰り返し練習できます。おすすめのシミュレーターには「Liftoff」「Velocidrone」「DRL Simulator」などがあります。
DJIユーザー向けには「DJI Virtual Flight」という公式ソフトもあり、実機に近い感覚で操作できます。最初はメニューから簡単なシナリオコースを選択し、基本操作を確実に習得しましょう。
屋内での実機練習
室内では壁や天井など障害物が多い環境で飛行できるため、精密な操作を学ぶのに適しています。まずは低速モードでホバリング練習をし、基本の姿勢制御に慣れましょう。
シミュレーターで身につけた感覚を実機で確認しつつ、少しずつコースを設定して曲がり方の練習なども試してみます。狭い室内で飛ばす場合は、必ずプロペラガードを装着し、障害物と十分な距離を確保してください。視界が狭いため壁や天井にぶつからないよう安全に注意しましょう。
屋外での実機練習
屋外では広い空間を利用して飛ばすことができ、長距離飛行や高速飛行の感覚を掴めます。公園や空き地など、障害物や人が少ない場所を選び、最大高度150m未満で目視飛行を守りながら飛ばしましょう。
風が強い場合は低い高度でまず様子を見て、少しずつ高度を上げると安全です。周囲に人や動物がいないことを確認し、万が一に備えて確実に着陸できる場所を意識しながら飛行してください。
練習のステップアップポイント
基本操作を習得したら、次は目的意識を持って練習しましょう。たとえば、特定のコースを設定して往復飛行したり、宙返りや素早い方向転換の練習を行ったりします。具体的な練習目標を立てることでモチベーションが上がり、上達しやすくなります。
毎日10分でも継続して操作を体に覚えさせ、無理せず徐々に難易度を上げていきましょう。
FPVドローンの飛行ルールと安全対策

FPVドローンは高性能かつ速力が出るため、安全対策が特に重要です。日本の航空法では、ドローンは常に目視範囲内で飛行する必要があります。そのため、FPVゴーグルを使用する場合は必ず目視用の補助者(スポッター)を置いて法律を遵守しましょう。以下では、FPVドローン飛行における法的なポイントと安全対策を詳しく説明します。
法律・航空法のポイント
日本ではドローン飛行に航空法が適用され、「目視外飛行」は原則禁止されています。そのため、FPVゴーグルを装着して操縦する場合は、必ず目視者を同伴する必要があります。重量200g以上の機体は国土交通省への機体登録も義務付けられています。
また、人や物に接近する・夜間飛行・人口集中地区での飛行などは許可が必要です。最大飛行高度150m以下、飛行禁止エリアの確認、夜間禁止など基本的なルールを守って飛行しましょう。
飛行可能場所と禁止事項
安全な飛行には、適切な飛行場所の選定が欠かせません。広い公園や河川敷、ドローン専用フィールドなど、人や建物から十分に離れた空間を選びましょう。空港周辺、都市部の上空、学校・病院など人が集まる場所は原則として飛行禁止です。無許可での夜間飛行や祭礼上空も違法です。
国や自治体が指定する禁止空域(進入経路、レーダー防護圏など)にも注意し、事前に飛行可能か必ず確認してください。
安全確認と事故対策
飛行前には必ず機体の点検を行いましょう。以下をチェックします:
- バッテリー残量と電圧が十分か
- プロペラやフレームに緩みがないか
- 送信機とのリンクが切れていないか
飛行中はバッテリー残量と高度、人や建物の位置に注意します。特に電波障害が想定される環境では周囲にも注意し、問題を感じたらすぐ着陸させましょう。事故に備えてドローン保険に加入するのもおすすめです。
まとめ
FPVドローンを始めるには基礎知識と準備が欠かせません。本記事ではFPVドローンの特徴や必要機材、練習方法、安全対策について解説しました。
初心者の方はまずシミュレーターや屋内練習で基本操作に慣れ、航空法などルールを守って安全に飛行しましょう。機材選びは慌てず、安定性と互換性を重視して決めると失敗が少なくなります。あとは周囲への配慮を忘れず、新しい視点をFPVドローンで思い切り楽しんでください。