運動会でドローンを使って空撮したい。そんな希望を抱く方は多いでしょう。ただ、ただ飛ばせばいいわけではありません。学校行事という公共性の高い場では、法律や条例、道徳的な配慮などが求められます。どんな許可が必要か、どのような注意点があるかをしっかり理解しておくことで、安全でトラブルのない撮影が可能になります。最新ルールに則った正しい知識を身につけておきましょう。
目次
ドローン 運動会 撮影 許可の基本ルールと法律
運動会のような学校行事でドローンを使って撮影する場合、権利関係や空の法的規制など複数の法律が関係してきます。まず「航空法」による飛行に関する許可および承認処置が必要なケースを理解することが重要です。特に「特定飛行」とみなされる飛行形態では国による許可が必須になります。たとえば催し上空で飛行させる、人または物件から30メートル未満で近づくような飛行、また人口集中地区での飛行などが該当します。
さらに「小型無人機等飛行禁止法」では、重要施設やその周辺などでの飛行を制限しており、それに該当する場所では飛行そのものが禁止あるいは許可の取得が義務付けられています。撮影行為自体は原則として許可を要しませんが、「飛行」を伴うとなると許可取得の判断基準が複雑です。
航空法における「特定飛行」の定義と許可要件
航空法では「特定飛行」として、飛行空域や飛行方法に一定の制限があります。催し物上空や人口集中地区(DID地区)の上空、空港周辺、150メートル以上の空域での飛行などが該当します。これらに加えて、夜間飛行、目視外や第三者から30メートル未満での接近なども特定飛行に含まれ、国土交通省の許可または承認が必要です。
申請時には飛行日時・場所・高度・方法・操縦者の資格・機体登録情報などが求められます。申請はオンラインシステムを使うことが基本で、内容の不備があると許可が下りないこともあります。
小型無人機等飛行禁止法と場所の制限
小型無人機等飛行禁止法では、特定の施設やその周辺、重要インフラなどにドローンを飛ばすことを制限しています。運動会の会場がこのような施設の近くであれば当該法が関係してきます。また手続きとして警察への通報や管理者の同意が必要な場合もあるため、場所の確認がたいへん重要です。
その他関連法規と自治体条例
民法上の土地所有権、個人情報保護法、条例なども無視できません。学校運営者や土地の所有者、近隣住民への配慮が求められるため、私有地であっても所有者の同意を得ることが望ましいです。また道路交通法に関しては、道路上で離着陸を行ったり通行を妨げたりする場合に許可が必要になることがあります。
運動会でドローン撮影する際の許可申請プロセス

運動会でドローンを使った撮影を安全かつ法的に問題なく行うには、許可申請プロセスをしっかり押さえることが大切です。学校や主催者、操縦者がどの許可をどこに申請するかをあらかじめ把握しておきましょう。着手前の準備が撮影当日のトラブルを防ぎます。
DIPS(ドローン情報基盤システム)の活用
DIPSは国が運営するオンラインの申請窓口であり、飛行許可・承認申請を行えます。空撮の日時、場所、飛行経路、操縦者や機体の情報などを登録し、オンラインで提出します。審査には数営業日かかることがあり、内容によっては包括申請が選択でき、1年間有効な申請で複数回の撮影をまとめて済ませられる場合があります。
学校および会場管理者との調整と同意取り
学校・施設の管理者との協議は必須です。運動会で会場が学校施設であるならば、校長や教職員、施設管理者から事前に許可を得る必要があります。さらに周囲の人への案内や安全エリアの設置、保険の加入など、主催者として責任を果たす準備が求められます。
警察・消防・自治体との関係機関への申請および通知
イベント上空でのドローン飛行は関係機関にも通知または申請が必要です。警察署や消防署、自治体による規制や条例が関係する場合があり、近隣への安全対策も関係します。許可が下りないケースもあるので、余裕を持って申請を行うことが重要です。
学校行事で飛行する際の安全対策とマナー

許可を得ただけでは十分ではありません。運動会のような学校行事で使用するなら、観客や参加者の安全を確保し、マナーを守ることが信頼と安全運用の鍵になります。事故やトラブルを防ぐ具体的な策や配慮点を押さえておきましょう。
安全距離と飛行高度・飛行経路の設計
飛行計画では観客、競技者、建物、電線などとの距離を十分確保することが求められます。特に「人または物件から30メートル以上の距離を保たなければならない」という規定があります。加えて飛行高度を低すぎず高すぎず、安全かつ撮影目的に適した高さと経路を設計します。
時間帯・天候・飛行条件の管理
日中で視界の良い時間帯を選ぶことが基本です。夜間や悪天候での飛行は許可が下りてもリスクが高く、操作ミスやトラブルの原因になりやすいため避けるべきです。また風や雨、湿度など機体性能に影響する環境を事前に確認し、安全確保を最優先します。
観客への配慮とプライバシーの尊重
撮影時には第三者の顔や車のナンバープレートなど、プライバシーに関わる要素の映り込みに注意が必要です。映像を公開する場合には了承を得ること、必要ならぼかし処理をすることも考慮します。また飛行音や光などで競技や参加者に迷惑をかけないよう適切な位置と高さを選びましょう。
機体登録と操縦者資格の要件
法律上、特定の機体や飛行形態で必要になるのが機体登録と操縦者資格です。運動会撮影を計画するなら、機体の性能や重量、操縦者の経験が許可要件を満たしているかを確認しておくことが重要です。
機体登録制度と機体認証
100グラム以上のドローンは機体登録が義務付けられています。登録番号を付与されていない機体で飛ばすことは違法となるため、必ず登録を済ませておきます。また機体認証制度に合格していれば、飛行の安全性が保証されており、許可申請で有利になることがあります。
操縦者の技能証明と経験
特定飛行を行う際は、操縦者の技能証明が求められることがあります。一定時間の飛行経験や練習記録を提示できるようにしておくこと。またオンライン講習や試験制度を利用して技能証明を取得しているかを確認します。主催者側としても操縦者の信頼性を評価することが責任です。
保険加入とリスク管理
万一の事故に備えて、事故保険や賠償責任保険への加入が望まれます。人や建物を傷つけてしまった場合の補償体制を明確にし、主催者と操縦者の責任範囲を文書で取り決めておくことが、トラブル後の紛争防止に繋がります。
実例で学ぶ運動会における許可取得と撮影の流れ

具体的な流れを知ることによって、必要な手順やスケジュールの目安がイメージしやすくなります。運動会では多くの関係者が絡むため、早めの準備が成功の鍵になります。
事前準備と内部調整のタイムライン
まずは学校、運営委員会、保護者会など関係者に撮影の目的と計画を共有します。撮影日から数週間前には管理者との調整、近隣への通知、場所と飛行ルートの確認を行います。さらに航空法の許可申請や機体登録、操縦者資格のチェックを済ませておくことが肝要です。
申請に必要な書類とオンライン手続き
申請には飛行許可・承認申請書、飛行計画書、操縦者および機体の情報、飛行マニュアル、安全対策計画書などが含まれます。オンラインシステムを使って手続きを行うことが一般的で、内容に不備がないよう様式や記載内容を慎重に確認しましょう。
当日の運用と撮影中の注意ポイント
運動会当日は飛行前点検を行い、速度・バッテリー残量・GPS信号など機体状態のチェックを実施します。飛行ルートに沿って観客を遠ざけ、立入禁止区域を明確に設定することが安全面に大きく貢献します。不測の事態に備えるために緊急停止手順や通信手段の確保も忘れずに。
許可が不要な場合と見落としがちな禁止・規制事項
すべての運動会で許可が必要というわけではありません。条件によっては許可なしで撮影できるケースもありますが、見落としがちな規制が多数あるため注意が必要です。
許可不要となる条件とは
私有地で所有者が明確でかつ同意を得ている場所、人口集中地区外・催し物上空でない・夜間でないなど、法令の規制対象外の条件が整っている場合には、撮影および飛行の許可が不要となることがあります。ただし機体登録は必要なケースが多いです。
禁止されている場所・空域・飛行動作
空港周辺、高さ150メートル以上の空域、緊急用務空域、祭礼や音楽フェス等多数の集まる催し物の上空などは原則禁止または許可が非常に厳しい空域です。目視外飛行、夜間飛行、人や建物に30メートル未満で接近する飛行も許可対象となるため、これらの飛行は避けるか正規の申請を通す必要があります。
自治体条例による追加規制や禁止例
都道府県や市区町村ごとにドローンの飛行・撮影に対する条例が定められている場合があります。都市公園や学校敷地の利用規制、ドローン持ち込み禁止の場所などもあり、許可が出ても条例で制限されることがあります。必ず自治体に確認することが重要です。
まとめ
運動会など学校行事でドローン撮影を考えるときは、ただ映像を撮るという目的だけではなく、法律・許可・マナー・安全といった観点から総合的に準備することが必要です。飛行が規制される「特定飛行」かどうか、主催者・学校管理者・関係機関への申請、機体登録や操縦者資格、安全対策など、複数の要素が関わってきます。
許可取得までには時間がかかる場合があるため、計画は余裕をもって立てるのが望ましいです。適正にルールを守ることで、運動会の空撮は参加者にとっても感動深く、安全な思い出となります。ルールを確認して、安心して空撮に挑んでください。