ドローンを飛ばす際、”立入管理措置”という言葉を耳にすることがあるでしょう。これは、無関係な第三者が飛行区域や落下可能範囲に入らないよう安全を確保するための制度であり、ドローンの安全飛行や許可申請において極めて重要です。本記事では、立入管理措置が何を指すのか、法的根拠、飛行レベルによる要件の違い、レベル3.5制度の概要、具体的な対策例まで丁寧に解説し、ドローンを安心して飛ばすための知識を提供します。最新制度を踏まえて、安全性と実務性のバランスを理解する手助けとなる記事です。
ドローン 立入管理措置とは何か
立入管理措置とは、ドローンの飛行において、「飛行に関与しない第三者」が飛行経路下あるいは落下分散範囲に立ち入らないように管理するための一連の安全対策を指します。法令及び制度において、特定の飛行形態へ許可申請を行う際に、補助者の配置、物理的区画の設定、標識や看板の掲示などが求められ、第三者の安全を確保する目的があります。これにより、地上及び水上の人や物件への危害のリスクを最小化することが可能となります。最新制度においても、この措置は飛行レベルによって必要性や適用方法が変化しています。
立入管理措置は、単に物を置いて囲むだけではなく、リスク評価に基づく設計が重要です。飛行エリアの形状、地形や風向き、周囲の交通量、人口密度などを考慮し、どの範囲まで管理区画とするか、標識の見易さ、補助者の配置場所など細部にわたって対策を設計します。これにより、飛行の安全性と実務運用の両立が可能となるのです。
目的と導入背景
ドローン事故が増える中、地上にいる人への被害や物件への損害を防ぐ必要性が高まっています。特に無人航空機が高速度で飛行した場合には落下や制御不良によって大きな事故につながるため、第三者の安全確保を法制度上最優先とする姿勢が取られています。立入管理措置はこのような背景で導入され、特定飛行の安全確保要件として義務付けられています。
さらに、飛行の多様化や商業利用の拡大により、従来の厳しい要件が実務上の障壁となっていたことも背景にあります。そこで制度見直しが進み、「目視外飛行」など飛行形態に応じて実際に講じるべき措置を柔軟にする動きが出ています。これが 최근導入されたレベル3.5制度などです。
法的根拠と制度上の位置付け
航空法及びその施行規則では、無人航空機を飛行させる場合、飛行経路・方法・空域によって「特定飛行」と定義され、許可または承認が必要とされます。その中で、第三者の立入りを制限する立入管理措置は、安全基準の一つとして明記されており、補助者配置や区画設定、標識等による周知といった具体的対策が義務付けられています。
また、立入管理措置は飛行許可申請時や飛行マニュアル、安全審査の対象となります。特定飛行を行う際、操縦者の技能、機体の認証、運航管理の方法とともに立入管理措置の内容が審査されるため、不十分な対策では許可が下りない可能性が高くなります。
飛行レベルとの関係
ドローンの飛行制度においては、「レベル1〜4」という分類があり、飛行の方法・環境によって必要な安全対策が異なります。レベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)では立入管理措置が必須となりますが、2023年12月に新設されたレベル3.5飛行は、その一部要件をデジタル技術で代替することで立入管理措置を緩和することが可能となった点が特徴です。
このように、飛行レベルによって立入管理措置がどこまで求められるかが変わる点を理解しておくことが、実務上の申請準備や安全設計を行う際に非常に重要です。
立入管理措置の要件とレベル別の違い

立入管理措置に関する要件は、飛行レベルや飛行内容に応じて異なります。以下では、レベル3飛行とレベル3.5飛行を中心に、補助者の配置、標識・区画の設置などの実務的な対策と要件の違いを解説します。これにより、どの飛行形態でどのような準備が必要なのかを把握できます。
レベル3飛行で必要な立入管理措置
レベル3飛行では、無人地帯で目視外飛行を行う場合、補助者の配置が義務付けられています。補助者は飛行経路及び立入禁止区画の監視と、第三者が近づいてきた場合の警告や誘導などの役割を担います。また、離着陸地点周辺に看板やコーンなどで物理的区画を設定し、第三者の立ち入りを明確に防ぐ必要があります。
さらに、飛行経路下及び落下分散範囲を考慮して標識の設置や周囲への周知も要求されます。地上カメラや気象計を配置して環境を監視すること、落下分散距離を想定した区画設計を行うことも含まれます。これらの要件が申請時の安全審査で重視されます。
レベル3.5飛行での緩和された要件
レベル3.5飛行制度は、従来のレベル3飛行の立入管理措置を一部撤廃し、デジタル技術で代替できる条件を整えることで、より効率的に飛行を許可する制度です。具体的には、操縦者が国家技能証明を保有し、第三者賠償責任保険へ加入し、機体搭載カメラで歩行者等の有無をリアルタイムで確認できることなどが要件となります。
この制度を使えば、従来必要だった看板設置や補助者配置などの地上での物理的な立入管理措置を省略することが可能になります。また、道路や鉄道などの上空横断を伴う飛行も、一時停止などの手続きを簡略化できるようになっています。ただし、完全に立入管理措置が不要になるわけではなく、飛行経路の特定や申請・承認などは依然として必要です。
カテゴリーと立入管理措置の関係
飛行カテゴリーは、特定飛行のうちリスクの程度によって分けられ、カテゴリーⅢとは「飛行経路下に立入管理措置を講じない特定飛行」を指します。カテゴリーⅡでは立入管理措置を講じる飛行が含まれます。レベル3.5飛行がカテゴリーⅡに属することが多く、最も安全性が確保されたカテゴリーで飛行が許可されることになります。
この関係性は、許可申請や保険加入の必要性、操縦者技能証明の要否にも影響します。例えばカテゴリーⅢである場合、機体認証や一等操縦士の技能証明が求められる場面が多く、責任範囲が厳しくなります。
レベル3.5制度の新設とその影響

令和5年12月に導入されたレベル3.5飛行制度は、立入管理措置の負担を軽くしつつ、ドローンの社会実装を加速させるための制度改革です。この制度変化により、これまで難しかった中山間部や物流用途での飛行が現実的になってきています。以下、その概要と影響、そして注意点を整理します。
レベル3.5飛行の導入内容
レベル3.5飛行では、従来の立入管理措置をデジタル技術で代替することが可能となりました。要件としては、操縦者が国家技能証明を保有し、第三者賠償責任保険に加入すること、機上のカメラで周囲の人の有無をリアルタイムで確認することなどが求められます。この制度改正により、看板や補助者を毎回手配する必要が減り、運用コストや手続きの手間が削減されます。
また、道路や鉄道の上空を一時的に横断する飛行が、一定の条件を満たせば可能になるなど、対象とされる飛行形態が拡大しました。これにより、物流配送や公共インフラ点検など、従来制度下で困難だった用途での実用性が高まりました。
実務への影響とメリット
立入管理措置が緩和されることで、申請に際しての地上準備が簡略化され、飛行実施までの期間が短縮できるようになりました。補助者の人手確保や物理的区画の準備が不要または少なくなることで、コストと手間の負担が軽くなります。
加えて、事業でドローンを活用するプレイヤーにとっては、より広いエリアや夜間の運用が可能になることから、サービス提供の幅や効率性を向上させることが期待されます。公共・民間の利活用が進む一方、安全性を保つための要件はしっかり確定されています。
注意点と限界
レベル3.5制度では立入管理措置が省略できるものの、完全に何の措置も不要になるわけではありません。飛行経路を特定して申請する必要、操縦者技能証明や保険加入、飛行中の監視カメラ活用など、要件を満たすことが前提です。
また、天候や機体性能によって落下分散距離が変わるため、事故想定とリスクの評価は怠れません。地域によって条例が異なるケースや、密集地上空やDID地域での飛行制限が残る場合もあり、制度運用時には最新のマニュアルや法令判断が必要です。
具体的な立入管理措置の方法と実践例
安全かつ適切な立入管理措置を講じるためには、具体的な方法を知り、実践することが大切です。ここでは代表的な方法と現場での具体例を紹介します。自身の飛行目的や環境に合わせて、これらを組み合わせて対策を設計してください。
物理的区画と標識設置
飛行区域及び離着陸地点の周りにカラーコーンやバリケードを設け、立入禁止区画を物理的に設定します。また、「ドローン飛行中」「立入禁止」と記された標識や看板を見やすい位置に掲示し、第三者に飛行区域であることを明確に知らせます。これにより、飛行を知らない通行人などが誤って立ち入ることを防止できます。
標識は視認性を重視し、色や大きさ、文言を工夫することが望ましいです。また、コーンやフェンスで区画を作る際には落下分散距離を考慮し、余裕をもって区画を広く取ることが安全設計上ポイントです。
補助者の配置と巡回監視
補助者は飛行の責任者ではありませんが、安全確保の実働部隊として重要です。飛行経路及び飛行中のエリアを常に監視し、第三者が近づいてきた際に声かけや制止、誘導を行える位置に配置します。また、飛行前・飛行中・飛行後に巡回を行い、異常がないか確認します。
補助者同士の連絡手段を確保し、万が一の緊急時には速やかに飛行を中止できる体制を整えておきます。現場が見通しの悪い場所なら、双眼鏡や軽量な監視装置を用いることも有効です。
機体搭載カメラによる監視とデジタル技術の活用
レベル3.5飛行で有効な方法として、機体に搭載されたリアルタイムカメラを使って歩行者や第三者の有無を確認することが認められています。これにより、物理的な補助者・標識等の地上対策を省略できるケースがあります。ただし誤検知や通信遅延などのリスクも考慮する必要があります。
撮影映像の遅れや死角がないかを予めテストし、機体性能、操作環境、天候などを確認することが重要です。機上カメラは昼夜運用を可能にする技術的な鍵となります。
申請手続きと安全評価のポイント

立入管理措置を講じる際には、飛行許可申請や安全審査、それに伴うリスク評価が不可欠です。飛行計画書の作成や申請プロセス、評価ポイントを正しく把握すれば、申請がスムーズになります。
DIPS申請時の立入管理事項の記載
国土交通省が提供する飛行許可・承認申請ポータル(DIPS)では、申請時に立入管理措置の具体内容を記載することが求められます。補助者の有無、標識・区画の設置内容、機体搭載カメラ利用の有無などを詳細に入力し、飛行計画と対策が整合していることを示す必要があります。
特にレベル3.5飛行を申請する場合、立入管理措置に「省略可」の条件を満たすための要件(技能証明、保険、カメラ監視)が整っていることを記述し、審査担当者に納得できるよう安全対策を明確に示すことが重要です。
リスク評価と落下分散距離の計算
飛行前に、機体の重量、速度、飛行高度や風速などから、落下物が地面に到達した際の分散距離を想定し、立入管理区画を設定します。この距離設計が安全性を左右します。メーカーのデータや標準的な公式を活用することが一般的です。
また、想定される最悪ケース(バッテリー故障、制御喪失など)を元に被害範囲をシミュレーションし、第三者が影響を受けない設計を行うことが求められます。これが申請成功と実地での安全運用に直結します。
まとめ
立入管理措置は、ドローンを安全に飛ばすための根幹にかかわる制度です。第三者の安全を守るため、飛行レベルや飛行内容に応じて補助者の配置や標識・区画の設置、機体カメラによる監視などの手段を講じることが義務化されています。
新たな制度として導入されたレベル3.5飛行は、これまでの物理的な立入管理措置の多くを条件付きで省略可能とするものであり、物流やインフラ点検などの実務面での活用範囲を大きく広げる措置です。ただし要件(技能証明、保険加入、カメラ等)を満たすことが前提であり、飛行計画書の記載や地域条例・マニュアルの遵守が必要です。
ドローンを楽しむにせよ、仕事で使うにせよ、安全性と法令遵守を土台とした飛行計画が何よりも大切です。飛行前には必ず立入管理措置の内容を検討し、飛行レベルに応じて適切な安全対策を講じましょう。